土地活用|等価交換方式は非課税?資金ゼロ?詳しく解説します!
2023.12.12 UP
活用していない土地(遊休地)がある場合、建設会社や不動産会社から「ビルやマンションを建てませんか」と営業の話が来て、手元に資金が無いと答えると、「等価交換方式」等を進められるパターンがあります。
等価交換方式は「自己資金はかからない」などと宣伝されることがありますが、これは本当なのでしょうか。
1円もかからないとの認識があるのなら、それは間違った情報です。
等価交換とはどんな制度なのか。今回は実際に行った場合の等価交換のメリット・デメリットや種類の違いについて解説します。
将来、土地活用で等価交換を選択肢に入れている方は是非、最後までお読みください。
Contents
1.等価交換方式の流れとは?
はじめに、等価交換方式とはどのような手法なのか解説します。
等価交換方式とは、保有する土地の一部をデベロッパーに引き渡す代わりに、その土地にデベロッパーが建築した建物の一部の所有権を得る仕組みです。
例えば、3億円の土地に分譲マンションを建てる場合は以下の流れとなります。
①3億円の土地を等価交換の条件でデベロッパーに売却します。
②デベロッパーは5億円の分譲マンションを建築します。
③売却した3億円分の土地と建物の所有権(3億円÷8億円=約38%)をディベロッパーから購入します。
※完成した土地と建物の価値は8億円(=土地3億円+建物代50億円)
④購入した建物は自宅で利用、あるいは一部を賃貸に貸し出す。
こうした一連の流れが、等価交換方式による土地活用です。
2.等価交換方式のメリット・デメリットは?
等価交換方式には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
実行後に後悔することのないように把握しておきましょう。
それぞれ3つ紹介します。
①等価交換方式のメリット
(1)自己資金・借入金なしで建築を行える
マンションやビルなどの建物を建てる際に必要な費用はデベロッパーが支払います。
そのため、一切の自己資金・借入なしで建築を行えます。
(2)譲渡税の繰り延べを行える
土地を売却すると譲渡所得税が発生します。
しかし等価交換方式を利用すると、立体買い替えの特例制度によって
税金の支払いタイミングが先送りとなり、等価交換時には譲渡税がかからない制度です。
取得した不動産は等価交換時に譲渡税はかかりません。
しかし、等価交換方式は原則として「売買」と取り扱われます。
不動産取得税や登録免許税といった税金がかかる点には注意が必要です。
立体買い替えの特例を含めて、ケースごとに適用される制度が詳細に異なります。
等価交換方式をお考えの際は、土地活用の専門家に依頼することをおすすめします。
(3)遺産分割がしやすくなる
土地を相続する場合、更地では分割の方法で揉めるケースがあります。
一方で建物という形で所有することにより、部屋数や収益により価値が明確になります。
相続で争族する確率を格段に下げることができます。
②等価交換方式のデメリット
(1)管理組合・理事会等に参加する必要がある
建築した建物の一部の権利を得られる等価交換方式ですが、他の部屋を取得した区分所有者と同立場となります。
よって、区分所有者のうちの1人となりますので、管理組合や理事会など、
マンション・オフィスビルを運営する会議への参加の義務が生じます。
(2)条件交渉が長引くことがある
価値の算定は考え方や企業によって若干の違いがあります。
デベロッパーの土地の価値算定に納得がいかない、交換する建物の室数や階数が希望と合わない、などにより交渉が長引く場合があります。
(3)所得税の節税メリットが小さくなる
等価交換事業では地主は初期費用を負担しません。
取得した建物の評価は昔の価格を引き継ぐ為、減価償却対象が少なくなり、取得住戸を貸した場合、結果的に所得税が増えます。
3.等価交換方式の種類
等価交換方式には「全部譲渡方式」と「部分譲渡方式」と2つの種類があります。
それぞれ異なる特徴を持っていますので、解説します。
①全部譲渡方式の特徴
全部譲渡方式とは下記の流れとなります。
まず、土地の所有者は土地の全てをデベロッパーに売却ます。
次に、その土地にデベロッパーが分譲マンションを建築します。
最後に、土地と建物の区分所有権を買い戻します。
(1)全部譲渡方式のメリット
・土地の所有者が複数いる場合でも円滑に事業を進められる
土地の所有者が複数人いる場合、工事前の要望がまとまらなかったり、
工事中に一人でもストップをかけたら、工事を中断せざるを得ない関係性です。
よって、所有権を一度移す事でこれらの面倒事を事前に防ぐことが可能です。
また、売却して現金化することでデベロッパーが倒産した場合のリスクを最小限に抑えられます。
(2)全部譲渡方式のデメリット
・不動産取得税と登録免許税が土地と建物の両方に課税される
土地を売却して、建物の完成後に土地と建物を買い戻すことから、
土地と建物の両方が課税対象となります。
・一切の所有権がない期間が存在する
事前に「等価交換基本協定書」などで取り決めすることが一般的ですが、
売却という形を取ることから、所有権が無くなり、建築工事中の発言権も無くなります。
②部分譲渡方式の特徴
部分譲渡方式とは下記の流れとなります。
まず、土地の所有者は土地の一部をデベロッパーに売却ます。
次に、その土地にデベロッパーが分譲マンションを建築します。
最後に、建物の区分所有権を買い戻します。
(1)部分譲渡方式のメリット
・不動産取得税と登録免許税が建物のみに課税される
土地の一部の所有権をそのまま持ち続ける為、税金は建物のみとなります。
(2)部分譲渡方式のデメリット
・譲渡する土地の範囲を決めるために時間を要する事がある
土地の一部売却時にどの範囲を所有するか、完璧に平等に区切ることが難しい為
交渉に時間がかかる可能性があります。
まとめ
土地活用でマンションやオフィスビルを建築する場合に利用されることの多い『等価交換』について、メリット・デメリットを始めとする特徴を解説しました。
注意点として、等価交換方式は通常、事業を進める相手はデベロッパーとなります。
全部譲渡方式を採用する場合など土地所有者のリスクが大きくなるケースもありますので、安心・信頼のおけるデベロッパーを選定し、よく理解をしながら事業を進めることがポイントといえるでしょう。
また、分譲マンションを建築する場合はまとまった規模の土地が必要となることから、隣の土地なども含めて複数名で事業を行うケースもあります。
こうした場合は特に、きめ細かい同意の積み重ねが必要となりますので、等価交換についての専門知識やノウハウを持つ事業者に依頼することが大切です。
80年以上にわたり、土地活用のコンサルティングを行ってきた鈴与三和建物株式会社は、お客様のご要望を第一に、土地の有効活用プランをご提案し、サポートしております。
相続税対策などで土地活用を検討しているのであれば、一度お気軽にご相談ください。
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