「ビル・マンションの建設費」はおいくら?『諸費用』の内訳について詳しく解説
2023.08.08 UP
ビルやマンションの建築について、その事業計画を立案する際、建物の本体工事費以外に諸費用も考慮する必要があります。本体工事費以外にかかる費用を正しく把握する事がポイントです。これによって、建築による収益を正しく判断出来るでしょう。
そこで本記事では、焦点が当てられることの少ない「諸費用」について詳しく解説します。
工事の一連の流れを確認するとともに、どのタイミングでどんな費用を要するのか、確認しましょう。
Contents
【ビルの建設費│本体工事費】詳細な見積もりで求める
一般的に設計・施工で建築を依頼する場合、建築業者との契約は建物の工事請負契約と、設計図面を作成する為の設計契約に大別されます。
建物の工事費用は・構造・大きさ(広さ)・形状・高さ・用途・内装・仕上など様々な条件を基に算定されます。弊社では、作成する設計図面に基づき個々に工事費用を算出しております。
同じく設計費用も上記内容によって異なります。
鉄筋コンクリート造(RC構造)のビルやマンションでは構造計算も詳細に行うため数千万円になる事も珍しくありません。
【ビルの建設費│諸費用の詳細】着工前~工事中
本体工事費が確定すれば、諸費用を算定できます。
弊社では、概算見積の段階でもお客様の資金調達内容などに応じて、必要となる諸費用の項目を把握し、出来るだけ正確な金額を個々に算出致します。工事費用の約〇%程度などと経験値から算出する会社様も有りますが後々修正の必要が出てきてしまいます。
収益性を正しく把握したいと考えるなら、各項目ごとに正確な諸費用を算定することをおすすめします。
まずは諸費用のうち「着工前から工事中」にかけて発生するものを紹介します。
現況の測量費
建築に際して、計画敷地の状況を把握する為に「現況の測量」を行い、面積、高低差、前面道路の幅員、周囲の状況、越境物の有無や上空障害などを確認しましょう。
土地購入のタイミングで実測図(確定測量図)を作成している場合もありますが、実測図では建築に必要な情報が不足しています。
地盤調査費用
ビルやマンションは、数百トンから数千トンに及ぶ重量を有します。
建築することで地面には大きな荷重がかかることになるので、地盤が耐えられるのか調査する「地盤調査」が必要です。
一般的にはボーリング調査を行います。調査期間は1週間前後の事が多く、調査場所は計画建物の配置により1か所の場合もあれば、複数必要になる場合もあります。その為の予算もしっかり確保しておきましょう。
なお、弊社では通常、ボーリング調査を行うまで、周辺で過去、当社が施工した際のデータや、公開されている地層データなどを設計に反映しております。作成する計画建物の図面から適正な調査期間と費用を予測いたします。
地盤調査の結果に基づく基礎形状の変更や地盤改良などの費用
地盤調査により、想定される重量に地盤が耐えられないという結果が出た場合、地盤の強さや建物を支える支持層までの距離によって、「建物の杭などの基礎の構造計画を見直す必要」や、地盤を補強するための「地盤改良」が必要になります。
つまり地盤調査の結果により、想定していた基礎形状に変更などが生じ工事費用が変動する場合があります。しかし、建替え等、建築予定地に建物がある場合は、その解体後でなければ調査が出来ませんので、工事費の変動に備えて、ある程度余裕のある資金計画をしておきましょう。
水道加入金
自治体によっては「水道加入金」を支払います。
分担金の有無や金額は自治体によって異なるので、ビル・マンション建築の計画初期に問い合わせが必要です。
立退き費用
計画に際し、取り壊す建物が有り、その建物を賃貸している場合、ご入居者に退去をして頂く必要が有ります。退去にあたって必要となる費用をオーナー側が負担する場合が多く、注意が必要です。
オーナーが負担すべき費用は、現状の家賃や賃貸借契約の期間、預り中の敷金などを基に判断することが多いので、事前に賃貸借契約書の内容を確認しておきましょう。
取り壊す建物に店舗が入居している場合、休業補償も含めて金額が大きくなる可能性もあるので、立退きについての協議を早めに行うことが重要です。
解体費
立ち退きが完了したあとは、既存の建物を取り壊すための「解体費」が必要です。
取り壊しを予定している建物の構造や規模によって金額は大幅に異なるので、立退き費用の算定と同様に早めに着手することが求められます。
なお、弊社では計画のスタート後なるべく早い段階で、解体のための既存建物現地調査を行い、想定される解体費用を算定します。
印紙税
建築工事の請負契約書は、課税文書となるため印紙を添付する必要があります。下表のとおり請負金額によって添付する印紙の金額「印紙税」は異なります。
印紙税額 | 本則税率 | 軽減税率 |
1万円未満 | 非課税 | 非課税 |
100万円以下 | 200円 | 200円 |
100万円を超え200万円以下 | 400円 | 200円 |
200万円を超え300万円以下 | 1,000円 | 500円 |
300万円を超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 | 200円 |
工事中の金利
融資を受けてビルやマンションを建築する場合、一般的に本体着工・上棟・完成引渡しの3回に分けて融資が実行されます。返済自体は完成後にスタートしますが、金利は、それぞれの融資が実行されたときから発生します。
それぞれの融資が実行されたときから、返済がスタートするまでの金利を「工事中の金利」として諸費用に入れておく必要があります。
「総事業費4億円(うち自己資金1億円・借入総額3億)・金利1.5%」の事業を仮定して工事中の金利を図示したので参考にしてください。
抵当権設定費用
融資を受ける場合は、土地や建物を担保として抵当権の設定登記が行われます。
設定する際に「抵当権設定費用」が必要です。抵当権設定の登録免許税は借入金の0.4%と定められております。その他に司法書士など設定登記を依頼する場合は手数料等の支払いが必要となります。
【ビルの建設費│諸費用の詳細】完成後
ビル・マンションの完成後に支払う諸費用には、以下のようなものが挙げられます。
- ・登録免許税(完成時)
- ・火災保険料・地震保険料(完成時)
- ・不動産取得税(完成後約半年程度)
- ・固定資産税・都市計画税(完成後毎年)
登録免許税
建物の完成時に、できあがった建物を新しく登記する必要があります。これを「表示・保存登記」と呼びます。
また、ビル・マンションを建築にあたって既存の建物を壊した場合、その建物がなくなったことを登記する必要があり、これを「滅失登記」と呼びます。
これらの登記を行う際には「登録免許税」を収入印紙で納付する必要があります。一連の作業は一般的に土地家屋調査士や司法書士などに依頼します。その場合は依頼した方への報酬も発生するので別途計上が必要です。
火災保険料・地震保険料
万が一に備えて保険に加入するため「火災保険料・地震保険料」も必要です。一般的には、完成時に10年分の保険料をまとめて支払います。
不動産取得税
新しく不動産を取得すると「不動産取得税」が発生します。建物の新築も取得にあたる為、納税が必要です。納税の時期は、完成後約半年程度です。
固定資産税 都市計画税
建物の完成後は固定資産税や都市計画税を毎年納税しなければなりません。
一般的に固定資産税評価は新しい建物は安く、古い建物は高いことが言えます。
そのため建替え前に比べ税額も高くなる可能性が高いので建てる際には注意が必要です。
【ビルの建設費】他にかかる費用は?
以上、ここまで紹介した費用のほか、別で諸費用として以下に挙げる費用が必要になる可能性があります。
- ・自宅を壊して建築する場合は工事中の仮住居費用
- ・金融機関によってはローン保証料等
- ・土壌汚染やアスベスト等があった場合の対策と処分費
このほかにも必要となる費用が発生する可能性もあるので、ビル・マンションの建築計画がある場合は、専門家へと早めに相談することをおすすめします。
まとめ│ビルの建設費は「諸費用」も忘れずに
ビルやマンションの工事には、本体工事費のほかにも様々な費用がかかります。
プロジェクトを実施することで収益を見込めるか判断するためには、本体工事費以外の「諸費用」についても詳細にシミュレーションする必要があるといえるでしょう。
一方で、「工事単価は一坪あたりの相場はいくらか」とお問合せを頂きますが、立地条件もさまざまで、諸費用を含めた工事費の算定は素人の手でできるものではありません。ビル・マンション建築に造形の深いプロに任せることをお勧めします。
当社では、プロジェクトの実施可否に関わらず、比較や判断材料としてのお見積もりの作成を承っています。また、お悩み解決のご提案も行っております。
ご相談は無料です。ご検討の際は土地活用関連のプロの「鈴与三和建物株式会社」まで、お気軽にお問い合わせください。