【土地活用の事例紹介】隣地購入により計画が改善したケース
2024.12.16 UP
土地活用を検討する際、対象の土地に建てられる建物の大きさ(建物の床面積や高さ)は、とても重要なポイントです。
建物の用途に幅が出る、コスト面でスケールメリットがある、住戸数が増え安定性が増すなど、建てられる建物が大きくなることで得られるメリットはたくさんあります。
しかし、建物の大きさには制限があり、自由に建築をしてよいわけではありません。
建物の面積の上限は容積率によって制限されていますし、高さは接している道路の幅や、日影規制などによって制限を受ける場合が多いです。
このような制限によって、「希望していた計画の実現ができない」、「収益性が想定していたよりも低くなってしまう」ケースは多々あります。
これらのようなケースの中には、隣地を購入することで、より大きな建物の建築が可能になり計画が改善する場合があります。
本記事では何故、隣地を購入することで大きな建物が建築できるようになるかを事例と合わせてご紹介します。
Contents
CASE1:隣地の購入による収益性の改善
一つ目は隣地を購入することで収益性が改善した事例です。
Aさんは、所有している自宅兼賃貸マンションが老朽化したため建替えを検討していました。
所有地は下図のように6m道路に接しているため容積率への制限があり(※1)、また道路斜線(※2)によって建物の高さの制限も受けてしまうため、あまり大きな建物を建てることができませんでした。
※1 計画地に接している道路の幅が12m未満の場合、幅員に既定の割合を掛けて容積を算出する。計画地は商業地域 商業地域の場合は 道路幅×60%=6m×60%=360%が計画地の容積率の上限。
※2 道路斜線とは建物の高さに対する制限の一つ。計画地が接している道路の反対側から、計画地に向けて斜めに上がってくる線(斜線)の内側にしか建物が建築できない。詳しくはこちら
そのような中でプランニングを行い収支のシミュレーションを行ったところ、期待していたような収益性にならず、計画を進めるべきか迷っていました。
そこで計画地の裏手、大通り沿いの駐車場を購入することを検討しました。
Aさんにとって駐車場を購入することには2つのメリットがありました。
隣地購入のメリット
容積率の上昇
元々、所有地の指定容積率は600%でしたが、接している道路の幅員が6mであったため、実際に適用される容積率は360%に制限されていました。
隣地の購入で12mを超える道路に2m以上接することとなり、容積率の制限を受けることなく、600%いっぱいまで利用して建物を建てることができます。
建物の高さ制限の緩和
今回のケースのように接道が2つ以上ある場合、最も幅の広い道路との境界から、その道路幅の2倍かつ35m以内の範囲の敷地は、最も幅の広い道路の幅員で斜線の計算を行うことができます。
Aさんの元々の所有地は6m道路にしか接していませんでしたが、大通りに面した駐車場を購入することで、斜線制限の計算上、敷地全体が大通りの幅員で計算を行えるようになりました。
これにより、建てられる建物の高さの限度が大きく上昇し、より大きな建物の建築が可能になります。
隣地購入の結果
駐車場を購入する費用が増えるなど、当初の計画と比べデメリットもありましたが、新築する建物の収支上、購入費用が周辺の土地相場よりも高くなってしまっても、駐車場を購入する価値があるということが分かりました。
その後、Bさんとの土地購入交渉を進めたところ、相場に近い金額で売ってもらうことができました。
その結果、想定していた通り、容積上昇や斜線制限の緩和によって、当初の計画よりも収益性の高い建物を建築することができました。
CASE2:隣地購入による土地形状の改善
二つ目は隣地を購入することで土地の形状が改善した事例です。
Cさんは下図のような土地を所有していました。元々は事業に使っていましたが、現在は使っていなかったため、その活用方法を検討していました。
所有地は駅までの距離が近く、賃貸需要の高い地域だったため、賃貸マンションの建築を考えました。
建築会社に相談し、プランニングを行ったところ建築費用が割高になってしまうことが分かりました。
割高となる原因は敷地の形状にありました。敷地全体を使って大きな建物を建てようとした場合、下図のように構造上2棟分の建物を建てて繋げる形になってしまうためです。
そこでCさんは隣地の購入を検討することにしました。
隣地購入のメリット
土地の形状の改善
Dさんの土地を買うことができれば、L字型ではあるものの、土地の形状が改善し、建物を2棟建てる必要が無くなり、建築コストを抑えることができます。
隣地購入の結果
その後Dさんと土地購入の交渉を行ったところ、相場と比べ割安で売ってもらえることになりました。
DさんはCさんから購入の話を持ち掛けられる前から売却を検討していました。しかし接している道路が4mだったため、Dさんの土地単体ではあまり大きな建物が建てられず、期待していた売却金額に届かず、売ることができずにいました。
Cさんが土地を購入する場合、事例1で紹介したようにCさんの元の所有地と一体となり、接道が改善し、Dさんの土地のポテンシャルをより生かすことができます。
このような理由から、Cさんにとっては割安、Dさんにとっては第三者が購入する時よりも良い条件で、というように双方にメリットのある土地売買となりました。
まとめ
今回は隣地を購入することで計画が改善した事例を2つご紹介しました。
土地活用を計画する際に、希望通りの建築ができないことや、期待していたような収益が得られないことは多々あります。
そういった際に、隣地の購入など、少し違った視点から土地活用の検討をしてみることで当初の計画とは異なる結果につながることがあります。
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