【土地活用の基礎知識】賃貸管理の種類と仕組み メリットやデメリットも合わせて解説
2024.11.21 UP
土地活用において、賃貸マンションやオフィスビルなどの建物から収益を得るためには、当然のことですが「入居者」が必要です。
賃貸経営において、この「入居者」に関連する業務を行うことを賃貸管理と呼びます。
一言に賃貸管理といっても、その中に含まれる業務は多岐に渡ります。また管理の方式も多数あり、それぞれにメリットやデメリットがあります。
混同されがちな言葉で建物管理という言葉がありますが、こちらは建物の清掃や設備の点検など、建物そのものを維持管理していくための業務を指しています。
本記事ではこの賃貸管理について、業務の種類や内容、管理方式の種類や違いなどを解説します。
Contents
賃貸管理とは
前段でご説明した通り、賃貸管理とは収益物件の「入居者」に関連する業務を行うことを指します。賃貸管理には様々な業務が含まれますが、代表的な業務として挙げられるのは以下の5つです。
- ・入居者の募集
- ・契約の締結・更新
- ・家賃の集金・敷金精算
- ・クレーム対応
- ・退室後の原状回復
賃貸管理の種類と仕組み メリットやデメリットも合わせて解説
上記の通り、賃貸管理には様々な業務が含まれます。建物の所有者自身がそれらの業務を全て行うケースもありますが、必ずしもその必要はなく、不動産会社などに業務を委託することが一般的です。
管理の方式は大きく分けて自主管理、委託管理、サブリースの三つで、それらの中にも種類があります。
それぞれ仕組みやメリット、デメリットなどをご紹介します。
1.自主管理
自主管理はその名の通り、賃貸管理に関する全ての業務を自身で行う管理方式です。入居者の募集、契約、退去後の原状回復工事の手配など様々な業務を自身で行うことで管理費用を抑えることができます。一方で知識やノウハウ、業務にかかる手間など負担も大きくなります。
入居者募集業務については、専門業者と比べ広告手段が限られてしまうことが多く、空室リスクに直結するため注意が必要です。
メリット
- 管理にかかる費用を抑えることができる
- 物件や入居者の状態をご自身で正確に把握できる
- 共用物の破損などへ即座に対応でき入居者の満足度を高められる
- 賃貸管理に関するスキルや知識、ノウハウを得られる
デメリット
- 管理業務に手間、時間がかかる
- 賃貸経営や不動産に関する法律などの知識やスキルが必要になる
- 入居者募集業務に不慣れな場合、空室リスクが高まる
2.委託管理
委託管理は、賃貸管理に関する業務を不動産会社などの専門業者に委託する管理方式です。
賃貸管理業務を全て委託する場合もあれば、一部の業務は委託せず自分で行う場合などもあります。そのため委託する業務の範囲は、委託先の業者やオーナーの希望によって変わりますが、弊社では以下の2パターンでご案内しています。
2-1.一般業務型
一般業務型では、入居者の募集や賃貸借契約の締結、解約時の手続きや敷金の生産、退去後住戸の清掃や原状回復工事の手配、その他入居者からのクレーム処理などの業務をオーナーに代わって代行します。
2-2.賃料管理型
賃料管理型は一般業務型で行う業務に加え、月々の賃料の集金や滞納の確認など、入居者から支払われる賃料の管理も代行します。入居者からの賃料を一括集金してオーナーに振り込むため、出納業務などの手間が軽減されます。
委託管理のメリットとデメリット
メリット
- 賃貸管理業務の手間を軽減できる
- 募集力のある業者に依頼することで空室リスクを抑えられる
- クレームや家賃の滞納などトラブルが起きた際に対応を任せることができる
デメリット
- ・賃貸管理業者への手数料が発生する
3.サブリース
サブリースとは、オーナーが不動産管理会社などのサブリース事業者に建物を一括で賃貸し、不動産会社が入居者に転貸する管理方式です。
オーナー視点では建物を貸す先はサブリース事業者だけになります。
サブリース事業者がオーナーに支払う賃料とサブリース事業者が入居者から受け取る賃料の差額がサブリース事業者の利益となります。
サブリースには以下のように、家賃保証型とパススルー型という2つの種類があります。
3-1.家賃保証型
家賃保証型とは、サブリース事業者がオーナーに支払う賃料が建物の実際の稼働状況に関わらず固定額となる管理方式です。
オーナーに対する賃料は、入居者が支払う賃料をベースに、あらかじめ決められている保証率を掛けて決定します。
例えば入居者からの賃料が満室の場合に月額100万円となる建物で、保証率が90%とすると、オーナーへ支払われる賃料は90万円となります。
賃料の固定期間について
家賃保証型のサブリースの契約期間は10年や20年など長期間となることもあります。この際に契約期間=賃料の固定期間と捉えがちですが、決してそうではなく、2~3年毎に保証賃料や保証率の改定が行われる仕組みになっていることが多いです。
契約期間が20年で賃料の改定が2年毎という契約の場合、賃料の改定は9回行われる計算となり、改定までの2年間が賃料の固定期間となります。
日本の借地借家法上、借主となるサブリース事業者の権利は貸主であるオーナーよりも強く、賃料の減額請求権なども認められています。
特に建物の稼働状況が悪い場合などは、契約内容にかかわらず賃料の減額請求や解約の申し入れなどが行われるケースもあるので注意が必要です。
家賃保証型のメリットとデメリット
メリット
- 入居者とのやりとりが必要ない
- 賃貸経営の手間を削減できる
- 賃料改定までの期間は賃料収入が安定する
デメリット
- 保証率の分だけ収益性が下がる
- 建物の稼働状況が見えづらい
- 事業者の経営破綻リスクがある
3-2.パススルー型
パススルー型は、サブリース事業者がオーナーに支払う賃料が、建物の実際の稼働状況に合わせて変動する(保証がない)管理方式です。
家賃保証型と同様に、建物の貸し先はサブリース事業者だけになりますが、賃料は自主管理や委託管理と同様に、実際の稼働状況によって変動する形となります。
メリット
- 入居者とのやりとりが必要ない
- 賃貸経営の手間が削減できる
- 家賃保証型に比べ建物の稼働状況を認識しやすい
デメリット
- 一切の業務を委託するため支払う管理費用が高い
- 事業者の経営破綻リスクがある
サブリース新法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)について
「かぼちゃの馬車」事件を始めとして、事業者の経営破綻や家賃の減額請求、契約の不当な解除など、サブリースに関するトラブルが頻発したことを背景に、「サブリースに関する規制」が施行されました。
規制の内容は主にサブリース業者がオーナーに行う重要事項説明の義務化や、不当な勧誘の禁止、誇大広告の禁止です。
これにより建物のオーナーが、サブリース業者と契約するうえで賃料の改定や減額請求の可能性、解約のリスクなどがあることを認識しやすくなりました。
しかし家賃保証型のサブリースそのものが規制されたわけではなく、説明を聞いたうえで進めるべきかどうかの判断はオーナーに委ねられています。サブリースにはデメリットだけでなくメリットもあるので、しっかりと理解をして検討をすることが大切です。
まとめ
本記事でご紹介した通り、賃貸管理の方式には種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
ただし、サブリースを含めどのような場合でも、空室リスクがあることには変わりありません。安定した賃貸経営を行うためには、立地やエリアの需要、不動産の特性などを考慮したプランニングが重要です。
一方で賃貸経営を行う手間や管理費については、管理方式によって違いが生じるため、それぞれをよく理解し、自身に合った管理方式を採用しましょう。