【都市計画道路とは?】土地活用する上での注意点(メリット・デメリット)を解説
2024.10.31 UP
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Contents
都市計画道路とは
はじめに、都市計画道路とはどのような目的で作られる道路なのか確認します。
東京都都市整備局が公表している資料によると、都市計画道路は、以下の図のとおり、4つの役割を期待して作られます。
引用:東京都 東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針
簡単に纏めますと、都市部等において交通を円滑にし、災害時などに道路が有効な役割を果たせるよう、新しい道路を造ったり、既存の道路の幅を広げたりする計画の有る場所という事です。
土地活用において、道路付は非常に重要です。建物の規模を決める容積率なども道路の幅員で決まってきます。土地活用を検討する際に確認をするべき重要ポイントですので、以下もう少し詳しく解説をしていきます。
都市計画道路の調査方法
土地活用を行う場合は、どのエリアが都市計画道路に含まれているのかを確認する必要があります。
都市計画道路の予定地は、市区町村の担当課に問い合わせすることで確認可能です。
上記の港区のように都市計画道路を含めた都市計画図をインターネット上で公表している場合もありますので、公表されている場合はそちらで確認してもよいでしょう。
都市計画道路の「計画決定」と「事業決定」
都市計画道路は、事業の進行の度合いによって「計画決定」と「事業決定」の2つに分類されます。
「計画決定」
都市計画道路における計画決定とは、あくまで道路を通す計画がある段階を指します。将来この場所に新しく道路を造りますよ、いまの道路を広くするので皆様の土地の一部を道路にしますよと計画している段階です。
「事業決定」
実際に都市計画道路の建設に向けて取り組みが始まるのが事業決定です。計画した道路を、行政が実際に予算を取って、費用をかけて測量し、土地の買取作業に動きだしますよという事です。
一般的に都市計画道路の建設は、計画決定後、工事に着手するまでに多くの年月を要します。
ご自分の土地が、一部或いは全部が計画道路にかかっているからといって、計画決定の段階では直ぐに何かをしなければいけないという事は有りません。
但し、計画決定でも、将来は道路にする土地ですので活用にあたり制限が出てきます。以下計画道路による制限についてご説明します。
都市計画道路が「計画決定」の場合(東京都の概要)
・建築できる建物に制限が出ます。①2階建(東京都の場合3階建)までしか建築出来ない(高さ10mまで)②木造、鉄骨造、コンクリートブロック造しか建てられない。③地下室は作れない
等です。詳細は必ず担当行政庁と確認が必要です。
都市計画道路が「事業決定」の場合
道路を造ると決めたのだから、其の障害となる様な建築・土地の形質の変更などは基本的には不可となり、特別の手続きを経て都道府県知事の許可が出た時のみ可能となります。
その場所に建築物を建てる事は出来なくなると考えておくべきです。
このように各種の制限がかかる計画道路の敷地について、メリット・デメリットを纏めてみました。
都市計画道路がある土地の「メリット」
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所有する土地が都市計画道路にかかる場合や、土地の近くに都市計画道路が計画される場合、土地活用を考えるうえでどのようなメリットがあるのか確認しましょう。
相場よりも安価に土地を購入できる
1つ目のメリットは、相場よりも安価に土地を購入できる可能性があることです。
将来、道路として整備される可能性が高いことから、建築を計画する予定がある方は都市計画道路にかかる土地を敬遠するでしょう。
一般的に、計画決定されているものが事業決定されるまでには何年間もの時間がかかります。
事業決定を受けるまでの間は、申請・許可が必要であるものの建築物を建てることも可能ですので、割安に土地を取得できる可能性があります。
事業決定後は行政に土地を売却できる
2つ目のメリットは、事業決定後は地方自治体が土地を購入してくれることです。
都市計画道路の範囲内に入っている場合、事業決定後は用地買収の範囲に含まれることから、必ず地方自治体が対象範囲の土地を買い取ります。
当然補償金が得られますので、土地の収容による損失を防げます。予め計画道路の土地が収用されて無くなる事を考慮して建物の配置をずらしたりしておけば建築物に影響を受けることなく土地の売却代金を手にする事が出来ます。
開通後は前面道路が広くなり土地の価値が上がる
3つ目のメリットは、所有する土地が都市計画道路の整備によって綺麗な大きな道路に面する事となり、収用で土地が減ったとしても、整備後の土地の価値が上がることです。
都市計画道路として整備されると多くの場合、道路の面積が増えるとともに歩道も整備され、利便性に加えて防災性も向上することが期待でき地価が上昇します。
地価上昇後に土地を売却すれば、値上がり分の差益を得られるでしょう。
固定資産税・都市計画税が安くなる
4つ目のメリットは、固定資産税・都市計画税が安くなることです。
都市計画道路の区域に入っている場合、土地の利用に制限がかかることから固定資産税の算定の際に評価額が下がります。
結果として、土地活用で継続的にかかる支出である固定資産税や都市計画税が安くなります。
都市計画道路がある土地の「デメリット」
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都市計画道路にかかる土地を所有する場合、メリットだけでなくデメリットがあることも認識する必要があります。
建築できる建物の規模が限られる
1つ目のデメリットは、計画決定の場合建築できる建物の規模が制限されることです。既にご説明したように2階建(東京都は3階建)まで、高さ10mまでという制限があります。
土地購入などの際は、自治体独自の基準を確認することをおすすめします。
参考:東京都都市整備局 都市計画道路区域内における新たな建築制限緩和の基準
建築できる建物の構造が限られる
2つ目のデメリットは、建築できる建物の構造が制限されることです。
階数と同様に、都市計画道路の対象区域では、以下のとおり建物の構造も制限されます。
- ・主要構造部(建築基準法第二条第五号に定める主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロツク造その他これらに類する構造であること
都市計画道路にかかっている場合、立ち退きや分割が必要に
3つ目のデメリットは、都市計画道路の区域に含まれる場合、計画決定の時は問題なく使用できるものの、事業決定後は道路に提供する場所を分割する事になります。
そこに建物が建っている場合、自宅なら自分の引越し、賃貸アパートなら入居者の立退き等が必要で、建物の全部又は一部を取り壊して土地を分割、譲渡しなければいけません。
相場より安くなる・相場が分からない
4つ目のデメリットは、土地を売却する際に相場より安くなる、または相場が分からないことです。
都市計画道路の区域に含まれる場合、土地を売却したいと思ったとき、建築物の制限などの理由から売却価格が安くなる可能性があります。(購入者からは、割安で取得できるというメリットに映る事も有ります)
また、事業決定のタイミングが分からないことから、土地の正しい相場を把握しづらい点もデメリットといえるでしょう。
まとめ
都市部における交通を円滑にする、都市計画道路にかかる土地で土地活用する際のメリット・デメリットなどについて解説しました。
所有、または購入予定の土地が都市計画道路の区域に含まれる場合、土地活用する上では「計画決定」された土地か、「事業決定」された土地か、という視点が大切です。
また、市区町村によって建てられる建物の大きさや種類が異なる場合がありますので、都市計画道路に関係するエリアで土地活用する場合は、法令や土地の相場などを細かく検証する必要があります。
ただし、土地活用の経験が少ない場合は、こうした判断が難しいケースが多いですので経験の多いコンサルタントなどへの相談をおすすめします。
相談先に迷っている場合は、90年以上土地活用に携わり、都市計画道路に関係するエリアでも事業の経験がある、鈴与三和建物株式会社まで、お気軽にご相談ください。