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不動産の相続税対策としての土地活用とは?節税に利用できる3つの方法を解説

2024.01.16 UP

親や兄弟など近しい方が亡くなった際、様々な手続きが発生しますが、そのうちのひとつに「相続」があります。

相続の対象となる資産は預貯金や貴金属、株式などの有価証券など多岐に渡りますが、中でも「不動産」は資産の中で大きな割合を占めるものの一つです。

相続税対策を考えるうえで、大きな割合を占める「不動産」に対する対策の検討は非常に重要です。

何も対策をしていない場合、多額の相続税がかかる可能性がありますが、土地活用によって税額を抑えることも可能です。

本記事では、そもそも相続税とはどのように算定され、どのような土地活用が相続税の節税につながるのかを解説します。

具体的な金額を示しながらシミュレーションも行いますので、相続税を抑えたいと考えている方は、是非ご参考ください。

そもそも相続税とは?どんなときに発生するの?

はじめに、相続税とはどのようなタイミングで発生し、どんな資産を対象に課税されるのかを解説します。

相続税は、死亡した人の財産を相続や遺贈(遺言によって財産を相続人以外の人に贈ること)によって相続人が受け取った際に発生します。

>財務省:相続税について教えてください。

相続税の課税対象となる財産は、国税庁のホームページには以下のように記載されています。

この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭で見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。

>国税庁:相続税がかかる財産

これら遺産の金銭的価値は、全額が相続税の計算の対象となる訳ではありません。

基礎控除として『3,000万円+600万円✕法定相続人の数』を控除した金額が相続税の課税対象(課税遺産総額)となります。

相続税の総額は、課税遺産総額を法定相続分に基づき各相続人に分配した額を、下記「相続税の速算表」に当てはめ、各相続人が支払うべき税額を合計することで計算できます。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超から3,000万円以下15%50万円
3,000万円超から5,000万円以下20%200万円
5,000万円超から1億円以下30%700万円
1億円超から2億円以下40%1,700万円
2億円超から3億円以下45%2,700万円
3億円超から6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
>国税庁:相続税の税率

たとえば、遺産額が1億円法定相続人が3人(A・B・C)で、法定相続分をAが1/2BとCが1/4ずつとすると、税額は以下のように計算できます。

  • (1)1億円-(3,000万円+600万円✕3人)=5,200万円(課税遺産総額)
  • (2)遺産分配後 相続人A=2600万円 相続人B・C それぞれ1300万円
  • (3)相続人Aの税額=2,600万円×15%-50万円=340万円
  • (4)相続人B・Cの税額=1,300万円×15%-50万円=145万円
  • (5)相続税の総額 340万円(A)+145万円(B)+145万円(C)=630万円

このように計算して、相続税を求めます。

※相続税額は法定相続分で計算を行います。遺言や遺産分割協議により、法定相続分と異なる分配が行われた場合、法定相続分で算出した相続税の総額を実際の相続割合で按分し、各相続人が支払うべき相続税を計算します。

不動産の相続税評価額の求め方

ここまでで相続税の基本的な内容(税率や基礎控除)をまとめました。次に不動産の相続税上での評価方法について解説します。

不動産の相続税を計算するためには、土地や建物を現金に換算して評価する必要があります。

このうち、建物は市区町村が算出している固定資産税評価額と同じ金額です。固定資産税評価額は毎年送られてくる納税通知書で確認することができます。

一方で土地は、地目(宅地や田畑、山林などといった土地の種類)やエリアによって評価方法が異なります。代表的なものは国税庁が毎年発表している相続税路線価格に基づく評価方法です。都内の宅地の大部分はこの方法によって算出されます。

相続税路線価格とは、対象の土地(宅地)が接している道路に設定されている土地の1㎡あたりの金額のことで、これに自身の土地の面積をかけることで算出されます。

固定資産税評価額や相続税路線価格の確認方法や計算の仕方は以下のコラムに詳しく記載しています。

>>関連コラム:地価の目安となる指標『一物五価』について解説

不動産の相続税負担を軽減するための特例とは?

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固定資産税評価額や相続税路線価等を利用して相続税の評価額を算定した際、基礎控除額を差し引いて課税遺産総額が0円以下であれば相続税を支払う必要はありません。

一方、そうでない場合は相続税を支払う必要があります。自身の資産を確認し、その総額が基礎控除の額よりも大きくなってしまう場合は、相続税対策を検討してみても良いかもしれません。

不動産の相続税評価については、以下の三つに当てはまるものがあれば、相続税額を軽減できる可能性があります。

  • ・小規模宅地等の特例
  • ・借家権割合の控除
  • ・貸家立付地の評価減

「小規模宅地等の特例」は、対象となる土地の面積や用途、相続人の属性が要件を満たしている場合、50~80%の金額の控除が受けられる制度です。仮に評価額が1億円の土地である場合、小規模宅地の特例が適用されれば2000万円~5000万円まで評価を下げることが可能です。

対象となる土地は大きく分けて、亡くなった方(被相続人)が住んでいた土地(居住用宅地)、事業を行っていた土地(事業用宅地)、賃貸経営を行っていた土地(貸付事業用宅地)の三つです。

それぞれ控除の割合や適用される限度面積が異なります。また特例の適用には土地の用途に応じた相続人の要件(亡くなった方と一緒に住んでいたことや生計が同一であったことなど)も満たす必要があるので注意が必要です。

>国税庁: 小規模宅地の特例

「借家権割合の控除」とは、他者に貸している建物は、借りている人にも権利が発生しているという考え方に基づく控除です。アパートやマンションなど第三者に賃貸している建物の権利の内、30%を借家権として建物の相続税評価額から控除することができます。

借家権の割合は全国一律で30%となっています。

この控除が受けられるのはあくまでも他社に貸している部分だけです。自宅兼賃貸マンションなどの場合は、賃貸部分のみ30%控除される仕組みとなっています。

「貸家建付地の評価減」とは、アパートやマンションなどの貸家が建っている土地に対して適用される評価です。土地の権利の内、建物に付帯する権利(借地権)にも借りている人の権利が発生しているという考え方に基づき、以下のように計算行います。

貸家建付地の相続税評価額=土地の相続税路線価額 ✕(1- 借地権割合 ✕ 借家権割合(30%)✕   賃貸割合)

相続税評価上の借地権割合は国税庁が設定をしており、土地の相続税評価額の算出に用いる相続税路線価格図で確認をすることができます。東京都内においては大部分が60%~80%となっています。60%の場合は18%、80%の場合は24%が控除の割合となります。

不動産については、土地活用を行わずとも、これらに当てはまれば相続税評価額が大きく減額される可能性があります。

土地活用による相続税対策

先に挙げた特例が当てはまらない場合や、利用しても相続税が発生する場合でも土地活用(収益物件の建築など)による相続税対策は可能です。

建築費と固定資産税評価

建物を建てる際には当然のことながら建築費が必要です。その建物の建築費がそのまま固定資産税評価額になるかというと、そうではなく、新築建物の固定資産税評価額は建築費の約50%と程度となります。

3億円をかけて所有している土地の上に賃貸マンションを建てた場合、完成したマンションの固定資産税評価額は1.5億円となるため大きな相続税対策となります。

また、合わせて上記の借家権割合の控除や貸家立付地の評価減なども適用されるため、実際にはより大きな節税効果が見込めます。

実際に相続税対策を目的に土地活用を行った場合、どの程度、相続税が軽減されるのでしょうか。

具体的な例とともに解説します。

シミュレーションの前提条件は以下のとおりです。

【相続財産と相続人】

  • ・相続財産:現金1億円と評価額1億円の土地(更地)を相続
  • ・相続人:1人

【相続税対策】

  • ・2億円の借り入れを行い、所有している更地に3億円のマンションを建築する。
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このように、土地活用を行うことで大きな節税効果が見込めます。ただし、相続税の面では大きなメリットがあっても、その後も安定した賃貸経営ができなければ意味がありません。

相続税対策を目的とした土地活用を行う場合は、活用の計画そのものの精査も非常に重要です。

法人化による相続税対策

これら以外に、法人を設立して不動産の所有権を移すことが相続税対策となる可能性もあります。

法人設立と所有権の移転を利用した節税については、以下のコラムで詳しく説明していますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

>>関連コラム:土地活用における法人化とは?メリット・デメリット、法人化のパターンも紹介

まとめ

土地や建物など不動産をご所有している場合、相続税評価額が大きくなり、相続税が高額になる可能性があります。

相続はいつ発生するか分かりません。まずは、ご自身でどの程度の相続税が発生するのかを確認しておくことが重要です。

相続が発生してから行える相続税対策は限られています。相続税が発生しそうな場合は、専門家に相談し、事前にどのような対策が可能かを確認しておくことをおすすめします。

当社では土地活用の企画や提案に加え、これらの税務相談も合わせたご提案をしております。相続にご不安をお持ちのお客様は是非お気軽にご相談ください。

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