土地活用する際に気をつけたい「抵当権」とは?│抵当権の調べ方も解説
2024.03.01 UP
使用していない土地があるとき、土地を相続したとき、土地を活用してマンションやオフィスビルといった物件を建て、収益を得たいと考える方もいるでしょう。
所有する土地を活用する際に必ず確認したいことは、土地や建物の抵当権に関することです。
抵当権とは、金融機関などで土地活用のための資金借り入れを行う際、万が一返済が難しくなった場合に、借り入れたお金の代わりに土地や建物を譲渡することを約束する権利です。
土地が抵当権に入っている場合、土地の売却やマンションの建築など、土地の利用が制限を受けることがあります。
所有している土地に抵当権がついているか確認する必要があり、この場合は法務局に出向き登記簿を取り寄せることで抵当権の有無を確認可能です。
抵当権とはどんな制度なのか、どのように確認するのか、詳しく解説していきます。
登記簿とは?土地登記簿の見方を解説
はじめに、抵当権について記載されている「登記簿」について解説します。
登記簿は、土地や建物の所在や面積、所有者の住所・氏名などが記載されているもので、法務局で請求することで誰もが確認できるものです。
不動産の登記簿は、土地についての登記簿である「土地登記簿」と、建物についての登記簿である「建物登記簿」に分けられます。
土地登記簿は1つの土地(一筆)ごとに、建物登記簿は1つの建物ごとに、ひとつの登記簿が備えられます。
実際に法務局で登記簿を取得すると、以下の見本のような書類を受け取れます。
不動産の登記簿は、上から「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」4部構成となっていて、以下の図のような事柄が記載されています。
様々な事柄が記載されていますが、このうち抵当権についての記載があるのは権利部(乙区)です。
土地活用を検討する場合には、まず登記簿を取り寄せて権利関係を整理することが大切です。
そもそも抵当権とは?
あらためて抵当権とは、土地活用のために金融機関などで借り入れを行う際、土地や不動産を担保として設定するものです。
何らかの理由で借り主が返済不能に陥った際に、金融機関は抵当権を行使して担保となっていた土地や建物の権利を取得します。
抵当権と根抵当権の違い
抵当権と似た言葉に「根抵当権」という制度があります。
抵当権は一度の借り入れに対して1つの担保を設定するものですが、根抵当権は一度の借り入れに対して複数の担保を設定できます。
また、根抵当件は、はじめに借入限度額を設定したら、その限度額内で何度でもお金の借入・返済が可能になります。
通常は借入をするたびに抵当権を設定しなければいけませんが、根抵当権ではその制約がなくなります。
限度額の範囲内で何度も融資を受けられることから事業を行う際には便利な制度である反面、元となる借り入れが完済されるまで残り続けることから根抵当権の抹消は簡単ではありません。
根抵当権のついた土地を活用する際は、元となる債権など権利関係を紐解く必要があります。
土地にも設定される抵当権
土地活用でマンションやビルを建てる場合、建築費用が高額になることから、金融機関のローンを活用して資金を調達するのが一般的です。
このとき、通常は土地に対しても抵当権を設定します。
金融機関の立場になって考えてみましょう。土地を購入するためにローンを活用する人が、安定して返済してくれるのかは不透明です。
そこで土地に対しても抵当権を設定し、ローンの返済が滞ってしまった場合に備えて土地の所有権を担保にするのです。
本当にローンの返済が滞った場合は、ローンの借り主から金融機関へと土地の所有権が移ります。そして土地の再販売や活用によって収益を得てローンの返済に当てます。
一方で借り主は、返済ができなくなり抵当権が実行されることを避けたいと思うでしょう。
活用したローンを返済できなくなる場合として、以下の2つのケースが挙げられます。
- (1)空室リスク
- (2)賃料の減額リスク
空室リスクは、想定していたほど入居者が集まらず、空室が発生することで計画通りの賃料が入らないケースです。
賃料の減額リスクは、周囲に好条件のマンションが建てられるなどして物件の価値が下がり、賃料を減額せざるを得なくなるケースです。
こうしたリスクが現実になり、土地に対して設定していた抵当権が実行され土地の所有権を失う事態を避けるために、デベロッパーや土地活用コンサルなどの経験者に相談するなどして、適切な想定で土地活用を行う必要があります。
>>関連コラム:土地活用コンサルティングって何?│コンサルティングを受けるメリット・手順を解説
まとめ
土地活用を検討する場合に必ず知っておきたい事柄のひとつ、抵当権について解説しました。
抵当権は、賃貸マンションやオフィスビルを建てる際のローン借り入れの際に、土地を担保にする場合に利用するケースが多い制度です。
土地を担保にすることで多額の借り入れを行うことができ、手元の資金がなくても土地活用に必要な資金を借り入れられる一方で、万が一返済が滞ってしまった場合に大切な土地を失ってしまう恐れがあります。
このことから、十分に余裕をもった返済計画を立てるなど、抵当権が実行される恐れのない返済計画を立てる必要があります。
>>関連コラム:土地活用|十分な資金なしでも土地活用をする方法5選
適切な返済を行える安全な土地活用を行うためには、適切な資金計画・返済計画のプロジェクトを立ち上げることが大切です。
資金計画や返済計画、抵当権など土地活用についてのご相談は、80年に渡り土地活用を行い、複数のプロジェクトを成功させてきた、鈴与三和建物株式会社まで、お気軽にご相談ください。