土地活用で知っておきたい「道路の種類」道路の有無で家やマンションを建てられない場合も?
2024.11.12 UP
土地活用を検討する際に確認しておくべきものの一つに「道路の種類」があります。
日本ではマンションやビル、住宅などの建物を建築をする場合、建築基準法で定められている道路に接しなければなりません。
この建築基準法で定められている道路にはいくつかの種類があります。本記事ではそれらの概要や特徴、土地活用を行う際の注意点などを道路の種別ごとにまとめてみました。
不動産の購入や土地活用をご検討の方は、本記事を参考に計画地がどのような道路に接しているか確認してみてはいかがでしょうか。
>>関連コラム:土地活用|その土地に建てられる大きさは?『建ぺい率』と『容積率』について解説します。
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Contents
道路の種類
日本において、道路は「道路法上の道路」と「その他の道路」の二つに分かれます。
道路法上の道路とは道路法第二条及び第三条で規定されている一般交通を目的とした道のことで、以下のようなものが該当します。
- ・高速自動車国道
- ・一般国道
- ・都道府県道
- ・市町村道
その他の道路とは、道路法で定められる道路以外の全ての道路を指します。以下の図のように、私道や農道、林道などがこれに該当します。
建築基準法上の「道路」
建築基準法とは、生命・健康・財産の保護を目的に、建築物の敷地や構造、設備、用途などに関する最低限の基準を定めた法律です。
この建築基準法の第42条では、同法律における道路の要件がまとめられています。この要件に該当する道路が建築基準法上の道路となります。
また第43条では建築する敷地と道路の関係が規定されており、原則として都市計画区域内で建築を行う場合は建築敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません。
また以下の表のように、自治体によってはマンションなどの特殊建築物を建築する際に、建物の延べ面積に応じ必要な接道の長さを定めていることがあります。
建物の延べ面積 | 必要な接道 |
500㎡以下 | 4m以上 |
500㎡超~1000㎡以下 | 6m以上 |
1000㎡超~2000㎡以下 | 8m以上 |
2000㎡超 | 10m以上 |
建築基準法上の道路の種類
建築基準法の第42条で規定されている道路はいくつかあり、以下の表のようになっています。
① 法42条1項1号道路 | 道路法による道路(区道・都道・国道) |
② 法42条1項2号道路 | 都市計画法の開発許可などにより築造された道路 |
③ 法42条1項3号道路 | 法施行時(昭和25年11月23日)に存在している道 |
④ 法42条1項4号道路 | 都市計画法などにより事業計画のある道路で、2年以内に事業が執行予定として特定行政庁が指定したもの |
⑤ 法42条1項5号道路(位置指定道路) | 政令144条の4で定める基準に適合する道で、築造しようとする者が特定行政庁から位置の指定を受けたもの及び昭和25年法附則5項による位置指定道路 |
⑥ 法42条2項道路(2項道路、みなし道路) | 法施行時(昭和25年11月23日)に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、特定行政庁の指定したもの |
少しわかりづらいので、ここからはそれぞれの概要を注意点なども含めて解説します。
① 1号道路
1号道路は、国道や県道、市町村道など道路法で定められる道路で幅員4m以上のものです。
高速道路も道路法上の道路ですが、自動車専用道路であるため原則として建築基準法上の道路には含まれません。
② 2号道路
2号道路は、都市計画法や土地区画整理法などに基づいて開発が行われた際に作られる道路を指します。
ニュータウンや大規模な分譲地に作られる道路をイメージしてみましょう。
なお、2号道路は開発が終了した段階で自治体に管理が引き継がれ、1号道路になります。
③ 3号道路
3号道路(既存道路)は国や都道府県、市区町村などが認定及び管理を行っていない道路や私道の中で、建築基準法の施工前からあり、幅員が4m以上の道路を指します。
つまり、「道路として認定はしていないけれど、建築基準法が施工される前から道路として使われている道なので、今までと同じように建築をしても良い」という道路です。
3号道路は所有者が行政ではない(私道)ことがあります。私道の場合、建築にあたって道路を掘削するなどの際には所有者から承諾を得る必要があるため注意が必要です。
④ 4号道路
4号道路は計画道路を指します。計画道路とは2年以内に道路の拡幅や新設を行う予定がある道路のことで、建築制限や将来的に道路用地として収用される可能性があるため注意が必要です。
計画道路については下記コラムで詳しく解説していますので、ご興味がある方は是非ご覧ください。
>>関連コラム:【都市計画道路とは?】土地活用する上での注意点(メリット・デメリット)を解説
⑤ 5号道路(位置指定道路)
5号道路(位置指定道路)は、複数の区画の住宅などを建築するために作られる道路です。
都市計画法などに基づく開発許可を受けて造られる2号道路と異なり、建て売りや宅地分譲を行う不動産業者などの私人が、土地を区割りし建築を行うために造る道路を指します。
性質上、私道であることが多く、3号道路と同じように道路の所有者から掘削承諾などを得なければならない場合があるため注意が必要です。
⑥ 2項道路(42₋2道路・みなし道路)
2項道路(42-2道路・みなし道路)は、建築基準法が定められる前からあった道路で、幅員が4mに満たない道路を指します。
2項道路で建築を行う場合、一般的には道路の中心線から建築敷地の境界までが2m以上になるように後退して建築をする必要があります。後退した敷地は道路として提供する形となるため、建築には利用できません。
計画地が2項道路に接している場合は、事前に道路の中心線の位置や、どれくらい敷地を提供しなければならないかを確認することをお勧めします。
道路種別の調べ方
建築を計画している敷地が接している道路が建築基準法上の道路に該当するかどうかは、計画地が所在する自治体の役所の建築指導課で確認をすることができます。
また多くの自治体がインターネット上で道路の種別(指定道路図など)を公開しています。「○○区 指定道路図」 などのキーワードで検索を行えば該当するページが出てきますので、手軽に確認が可能です。
計画道路や位置指定道路、二項道路などについても役所やインターネットで詳細な調査が可能ですが、慣れていないと分かりづらい内容もあるため、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。
まとめ
今回は建築基準法における道について解説しました。建築制限や敷地の道路提供、掘削承諾の必要性など計画に影響を及ぼす場合もあるため、建築や土地活用などをご検討の場合は事前に確認することをお勧めします。
建築や土地活用を行う場合、道路の種別以外にも調査や検討が必要なことがたくさんあります。
手間や費用がかかること、また内容によっては専門的なスキルや知識を要する場合もあります。
ご自身での調査や検討が難しい場合、ご不安や分からないことがある場合は土地活用コンサルタントなどの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
私たち鈴与三和建物株式会社は、東京を中心に90年間に渡って土地活用のお手伝いをして参りました。
その中で培ったノウハウを基に、建築や土地活用に伴う調査や問題の解決、相談事など、総合的にお手伝いをしております。
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